経済学の用語で「公共財」というものがあります。
簡潔に言えば、誰もが制限を受けることなく利用・消費できる財やサービスのことを指します。
今、インターネットの世界では「Web3.0」という言葉が新しいキーワードになっていますが、
このWeb3.0が世界を変え、人類の進化を促す技術になると考えられている理由の一つとして、この「公共財」という考え方があります。
これまでインターネットの技術・・・に限らず、ほぼ全ての商品・サービス・知識・技術は、それを作り出したもの、権利を有するものが独占し、利益を得るというのが「常識」でした。
しかし今、Web3.0=特定の企業に依存しない分散型のネットワークを作り出そうとする世界のムーブメントでは、
関連する技術を「公共財」にすることがWebの未来を構築する基本であるとして共通認識されています。
もう少し詳しく説明すると、
関連技術をGithubなどを利用してオープンにし、Web3.0の商品やサービス、技術の開発を促していく、という考え方になります。
Web3.0の最新技術も含め、無料でウェブ上に公開されていくわけですから、
技術者としては開発のスピードはこれまでと比較できないレベルで上がりますし、開発コストも下げられることで開発者の敷居を下げることが出来ます。
新規参入も容易であり、隠れた才能を見出される技術者も現れることでしょう。
ある意味、奉仕に近いこの「公共財」の考え方は、まさに「分散型」の哲学を踏襲していると言えるでしょう。
技術も知識も特定の企業が独占するのではなく、皆で共有しようという考え方である訳ですから。
画期的なこの考え方により、これまで人類が経験したことのない技術的進化がWeb3.0で起こる可能性があると言えるでしょう。
そんな技術的進化を促す「公共財」を充実させるべく、
FilecoinのProtocolLabsの主催により、公共財への資金提供を促すためのイベント「Funding the Commons」が今年の6月24〜25日にニューヨークで開催されます。
〜Funding the Commons〜
https://fundingthecommons.io/
同じ目的のイベントは過去2回、オンラインでの「バーチャルイベント」という形で開催されてきましたが、オフラインのイベントとしては初開催になります。
同イベントにはイーサリアムのヴィタリック・ブテリンや、Filecoinのホアン・ベネットをはじめ、
Web3の先端を走るスピーカーの数々が2日間登壇し、公共財、つまりオープンソースとなる技術開発への資金提供の重要性と可能性について語ります。
開催会場はニューヨーク・セントラルパークのそばにある、ニューヨークで最も古い博物館「New York Historical Society」。
世界の先端を走る街、ニューヨークの中の、
最も古く歴史ある博物館で行われる、
最先端のインターネットのイベントとは、実に趣があると思いませんか?
ひょっとしたらこのイベントが、Web3.0の一つのターニングポイントになるかもしれません。
まだまだ創成期にあるWeb3.0。
これからの成長により、我々の生活をどのように変え、便利にしてくれるのか、非常に楽しみです。